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アニメ・ゲームコンテンツに寄り添う渋谷系音楽

最近よく見る渋谷系&二次元コンテンツの話です。

わたしは高校生くらいから俗にいう「渋谷系」類の音楽を好んで聞いています。wikipediaとか見てみるとどんなものかわかりやすいかも?

渋谷系 - Wikipedia

あんまりわかりやすくなかった(というか書かれているように明確な定義がないバズワード)。言葉で説明するのは難しいジャンルだと思うので実例を出してみます。こんな曲聞いたことないでしょうか。

 


Flipper's Guitar - 恋とマシンガン (Young, Alive, In love) - YouTube

 

フリッパーズギターといえば渋谷系のドン(死語っぽい)で有名ですが、こんなかんじのポップな音楽が渋谷系によくあるなという印象です。後はボーカルがあんまりキレッキレしてないことが多い傾向にあると思います。特に男性はあんまり声変わりを感じられない。

ちなみに、フリッパーズギターのボーカルは今コーネリアス名義で活動しています(攻殻機動隊NHKのデザインあ、の音楽担当でもある)。例えばこんな曲とか作っていました。個人名義になったら少し渋谷系からずれて、徐々にポストロック的な方向に向かっていってますが……。


Cornelius(コーネリアス) - Moon Walk - YouTube

 

ところで私が渋谷系にはまったきっかけを辿ってみると、元々は音楽ゲームでした。

中学の頃にポップンミュージック(当時はバージョン14)に出会い、それから高校2年位までずっと入れ込んでいました。ポップンミュージックコナミ音楽ゲームBEMANI」シリーズの一つですね。シリーズ内には他にもいろんなゲームがあって、収録されている曲を時々シリーズの他ゲーに移したり、シリーズ全体でイベントを行ったりしています。

私はポップンから入り、そのままbeatmania IIDXとか、ギタドラとか、DDRとか、最近だとリフレクとか、あちこちぽつぽつプレイしつつ過ごしていて、そのうち曲が好きになってCDを買ったり借りたりするようになりました。そうすると好きな曲を作る・歌う人はだいたいいつもこの人だ、っていうことに気づくようになるわけですが、その中に杉本清隆、wac、常盤ゆうといった名前がある。この人達が作る曲(の一部)が渋谷系に属すること、渋谷系の大手と絡みがあったことなどに気づいたのは比較的最近です。

ポップンのコンセプトにはいろんなジャンルの曲を入れるというものがあります。今もそうかは知りませんが、幅広いジャンルの曲を、という目的があってか定期的に渋谷系のポップスも収録されていました。

例えばどんな曲があるかというと、

こんな感じです。(もちろん他にももっとある)

これを見るだけでも渋谷系の大手が大勢曲を提供していることがわかります。

沖井さんとか北川さんとかヤスタカさんとかは非常に有名です。中田ヤスタカといえば今はきゃりーぱみゅぱみゅとかPerfumeでポップかつエレクトロといったイメージが強いですが、かつては渋谷系ポップスをメインに作曲していたりします(CAPSULE初期に多い)。その頃の手癖的なものがきゃりーぱみゅぱみゅの曲なんかには結構残っている気が個人的にはしています。

あとどうでもいい話で、I really want to hurt youの曲名の元ネタはdo you really want to hurt meって曲らしいですね。こっちは特に渋谷系というほどではないですけども。

 

こんな感じで、ポップンはじめBEMANIシリーズは実は渋谷系の隠れた宝庫なのです。

その理由としては、

「初期スタッフに杉本清隆がいたこと」

BEMANIシリーズ開始当初は渋谷系の全盛期だったこと」

「wacの学生時代の知人で渋谷系に行った人が多いこと」

音ゲーに曲を提供するアーティストはたいていスタッフの知り合いであること」

の4つが挙げられるんじゃないかな~と私は思っていますが、それに加え大きな理由として

「ポップスなのでウケやすい=ゲームに入れやすい」

というのがあるのではないでしょうか。(一部除き)基本的に渋谷系は耳触りが良く、メロディもキャッチーで追いやすい。旋律を叩かせる音ゲーとしてはプレイしてて楽しい曲を入れることが必須ですし、渋谷系はそういうところにぴったりくるジャンルだと思います。

 

さて、そんな渋谷系も2000年以降はwikipediaにもあるように、有名バンドが解散するだの分裂しただのなんだのと衰退しました……が、ここ数年渋谷系はまた盛り上がっています。特にアニメソング・キャラクターソング・声優の持ち歌といった二次元コンテンツで、渋谷系はどんどん盛り返してきました。

特筆すべき出来事としては花澤香菜のCDリリースでしょうか。作曲を手がけているのが錚々たる渋谷系大手ばかりという大変豪華なCDです。1stアルバムを見ても、中塚武、北川勝利、カジヒデキ、沖井礼二……と、顔ぶれが豪華。なので、花澤香菜のアルバム曲の曲調が好きな人なら渋谷系も好きな可能性が大いにあります。

他には、(いうならビッグバンド系ですが)きんいろモザイクのED曲「Your voice」も挙げられます。元々この曲は前述もした中塚武という人のもので、ボーカルも渋谷系でぶいぶい言わせた(死語)、沖井礼二も参加していたバンドCymbalsのボーカル土岐麻子でした。きんいろモザイクの曲はこれのカバーになっています。


Takeshi Nakatsuka - Your Voice(sings with Asako ...

あとは最近ではないですが、北川勝利もといroundtableはこういった業界によく曲を提供していて、例えばNHKにようこその曲とかが挙げられます。


NHK ni Youkoso! - Puzzle (Full Version) - YouTube

 

そして最後に、最近借りてきたアイドルマスターのベストアルバムに収録されていた、高槻やよいの「ゲンキトリッパー」も、よく聞いてみると完全に渋谷系です。作曲者自体もCymbalsを意識して作ったと言っているとかいないとかいう話ですね。

 


アイドルマスター 高槻やよい ゲンキトリッパー - YouTube

 

参考までに。Cymbalsの曲というと以下の様な曲が有名です。


cymbals - 午前8時の脱走計画 - YouTube

 


cymbals - My Brave Face - YouTube

 

というわけで、かつて流行してから消えたと思われた渋谷系音楽ムーブメントは、今アニメ・ゲームといった(サブ)カルチャーコンテンツの中に居場所を変えて生き続けているのではないか?といった話でした(といいつつ、自分の好きな音楽についてのささやかなマーケティングも兼ねる)。アニメコンテンツ好きな人、もしかしたら渋谷系にハマる素質があるかもしれないので、ぜひ手を伸ばしていってもらえたらなあと思います。

P3Movie(Falling down)見てきた感想

タイトルの通りです。見たこと前提の感想なので多分ネタバレを含みます。
見てから数週間も経ってしまったし文章がダラ下手長くなった。



・はじめの広告
アニメ映画だとアニメ系の映画広告にしてくれるの優しいな……っていつも見てます。
コードギアスの映画、そういえば主人公が入野自由だったことを思い出して予告見てたんですけど、最後に悪い人の声出してるの聞いたらすごく満足しました。遊戯王ZEXALのブラックミストみたいな役をノリノリで演じる入野が好き。
あと何かの実写映画の主題歌がゲスの極み乙女。だったんですけど、名前見るまでセカオワだと思ってました。初めてゲスの〜を聞いたときも声質似すぎかよと感じたんですけどそれにしたって似すぎだよ。


・初っ端から視聴者を置いていく件
いきなり主人公群vsストレガでどんぱちやっててなんなんだこれは……
前回記憶違いでなければ、噴水のところで順平とチドリが会うところで終わってたと思うんですが、もう順平利用されてるし、信頼度上げる描写ないままにここまですっ飛ばされるとは考えてなくて頭が追いつくのに時間がかかりました。そこちゃんとやらないでどうするんだ。
順平がチドリに惚れるシーン自体は後半で回想という形で出てきたとはいえ、置いてきぼりしすぎてて苦笑。本当に既プレイ者以外お断りの雰囲気ですね。それならOVAでいいし、見てても映画じゃないと!という熱い映像は少ないというか、お金あんまりかけられなさそうな映像見てると少し寂しい。静止画+BGMでカメラ動かすシーン見るたびエロゲとかギャルゲーとか乙女ゲーとかそういうOPかよと言いたくなる。
この時点でファルロス+結城掛け合いもといスーパー石田タイムが始まってて面白かったです(こなみ)。


・幾月の突然の死(例のトゲトゲ)
シリアスなシーンだとはわかっていても今まで対して目立ちもしていなかった幾月が顔芸始めるとすごく面白い。展開も知っていたしギャグシーンとして見ていました。展開知ってなくてもあんまり重大な感じがない(明らかに何かまだ控えてるとわかる雰囲気)シーンだと思います。
唯一怖さがあったのはアイギスの自律性が失われたところ。結城に絶対的信頼を寄せるアイギスでもこうなる可能性があるというのが怖い。おそらく結城にとって頭で理解できてもショッキングだったんじゃないかと思いました。


・ハイパー石田タイム
綾時&結城ってこんなに絡むんですね。高いハイ石田と低いロー石田(ここにファルロスが入ると生き生きショタ石田)と石田一人三役を堪能させていただきました。
ゲームはちょうどこのあたりで友人に返してしまったので細かい流れがわからないんですが、映画、無理やりコミュの対象を出しまくり→負債を作らせ→綾時とくっつける、流れが力技すぎる。本編ストーリーに田中社長が出てくるイメージがないので映画オリジナルストーリーだったんですかね。力技だとは思うけれど綾時に結城が徐々に徐々に心を開くのは流れも丁寧で良かったんじゃないかな。
あと修学旅行の温泉のシーンが笑いをこらえられなくて本当に辛かったです。映画館静まり返ってたから声出せないのが余計「笑ってはいけない」を思い出させて辛かった。緑川&石田&鳥海だと思うとみんな名キャストだし、そりゃ臨場感のある演技がうまいわけなんですけど、真に迫っていて(特に緑川氏)お腹にダイレクトに来ました。あそこだけもう一度見たいなあ。


・チドリと順平のメンヘラブストーリー
改めて見て思ったんですけど、チドリめっちゃメンヘラ女子っぽいですね!!リスカしてるから今更だけど!!
悩みは他メンヘラ女子より多少高尚かもしれませんが、行動や精神のぶれ方がメンヘラ女子すぎて(特に寝返ったあたり)いたたまれない気持ち(?)になりました。2人がそれはもう熱く気持ちを伝えながら攻撃しあうシーンありましたけど、自分が制御できない位感情が爆発して暴れる彼女を宥めすかし押さえ込む彼氏にしか見えませんでした。だいたい強い言葉を与えてギュってしとけばなんとかなるよね。半分冗談とはいえ、正直なんでもメンヘラ的だなあという気持ちで作品見ちゃうのは良くないという自戒もあります。
順平の代わりに自分が死ぬシーンのチドリ、最期の言葉がじーんときて少し泣きました。冷静になってみると、お互い好きあってたことに今更気づいて、でももう間に合わなくて、相手だけには生きていてほしくて(でも順平にはなにもできない)、通じたと思ったら終わらせられる順平の気持ちを考えると切ない。
チドリと違って順平の方が精神は普通に出来てるから、だからこそ相当引きずっても仕方なかったと思います。その場でとっさに怒りに方向転換して戦った順平、たぶんそれしかできなかったんですよ。もしここでストレガが何もせずいなくなっていたら、逆に順平ほんとに苦しくて辛くてたまらなくて気持ちの行き場がなくなっていたんじゃないかな。
正直恋愛ストーリーとしては要約文を見せられたばりに細部を描かず雑ではあったんですが(映画の見せ方の影響で)、声優の演技の良さにカバーされてことなきをえたかなと思います。




ここから割と内容全体のまとめた感想です。「ジュブナイル作品は本題に精神的問題ばかり使う」よねって話
この前見たピンドラもペルソナ4もそうなんですが、ジュブナイル作品だと、当事者達(十代達)にとっての重要な問題はほぼ精神的なものに終始しますね。それは例えば複雑な恋愛関係でもあるし、愛情の与え方でもあるし、自己理念の確立でもあるし、承認欲求の解消法でもあるし、自分は周りの世界をどう受け取るか、という問題でもあります。
言い方を変えれば、当事者にとって問題はどこまでも内面的なもので、例えば社会制度などのルールに刃向かうとか、正義の味方になって悪役をただやっつけるとか、そういったところがあまり重要になりません。むしろ、悪役とは誰か?わたしの正義は何か?ということを悩ませるようなものが多いです。そういう意味ではダンガンロンパって作品は比較的当事者の問題意識は社会的なところにあるのかな、とも思えます。(とはいっても希望を信じて賭けに出るか諦めるか、と言うところはメンタル的だ。)
対極にあるのは例えばサイコパス。あれは社会構造や規範に疑問を投げかけていく作品で、もちろん自分のルールとはなにか、シビュラシステムは善なのかを考えることにはなるんですが、やはり大きな主題は社会にあって、そこにはこうなるまでに至った社会の状態≒構成員の状態の問題も付随してくる、という形になると思います。
言ってみればこれは当たり前のことで、基本的に十代の子供は大人のような社会性を必要としない(義務に縛られない)し、思春期から大人になる最中だから内面こそが大きな悩みとなる。

P3Mにおいて、結城の精神も起承転と変化しているところがあります。
#1は結城の精神が実質視聴側から見れば生まれる瞬間というわけで、生まれたばかりだから、他者との関わり方がよくわからない。それでも好奇心や相手からの好意、あるいは成功体験をきっかけに人に近づこうとするようになる。
#2でそれがピークに達します。自分に心から信頼・愛を与えてくれるアイギスと出会い、寮のメンバーも最多となって、目的も確実に消化出来ている状態が続く。よくわからないけど今は充実しているし、自分は世界(≒他者)のためになっている自信がどんどん増してくる。ここまでが承とすると、ストレガの存在と荒垣の死がそれをひっくり返す転になり、ラストシーンで楽しく明るい強いところから引きずり落とされて、関わっていたモブでは無い人の喪失で怖くなる。
#3では綾時が現れるまで下り坂が続き、今まで拠り所になっていた他人と関わることによる安心感、正しいことをしているという自己肯定感がほぼ崩される。結城はここで、「プラスに精神が傾くと、失ったときの辛さはゼロどころでなくマイナスになる」から「ゼロを続ける方が辛くない」という結論に至るわけですが、こういうことって人間関係で一度は誰もが考えることだと思います。親友を失うとか好きな人に別れを告げられるとか。
数年前に日記にわたしも似たようなことを書いていたので、見ている間うーんなるほどという気持ちでいっぱいでした。人生+-で表せるとしたら、+20を経験したら-20を経験することを覚悟しなきゃいけないとわたしは思います。逆も言えるけど。より楽しいことを経験したらそれを失ったときより辛いのは当たり前ですかね。
結局、結城は綾時と過ごした結果、そういうメンヘラい考え方をやめ始めて、順平とチドリのやりとりを見てから完全にそこから脱します。あとタルンダ先輩との卓球も関与はしているかも。今回の映画でかなり好きなシーンが、チドリに少し打ち解けてもらえて浮かれる順平と結城が会話するシーンでした(伝わるだろうか)。談話室で順平が「お前そんな考え方でつまんなくねーの」って言うところ、順平たまには(?)いいこと言うなと。(ゲームでの順平は文句ばっかりの割りに免罪符無さすぎる感じがダメであんまり好きじゃなかった)
見ながら思ったことなんですけど、人生を積分値で見るのは安易な考えで、むしろ人生価値はそういう感情の絶対値の積分値で見る方が適しているんじゃないかと。RPGの経験値的な目線で見ていきたい。怖がってなにもしないなら死んでるのと同義です。そう考えると、デスである綾時が生に満ち満ちてるのは少し面白かった。

結論を言うと、一作品としてはぶっちゃけあんまりな映画だけど、P3のストーリーを受け取り直す手段としては正解な映画でした。やはり主人公が1キャラとして描かれるという点では映像や小説は強い。次作でラストなので、せっかくだし最後まで見に行こうと思います!まだ見てない人は先に何らかの形で原作を一周してから見ることをオススメします。

SideM ST@RTING LINE-01,02届きました

4/15なので昨日ですが、ついにTHE IDOLM@STER SideMのユニットCDが2つ発売されました!!!オリコン10位以内に2つとも入ったらしいので本当に安心しました。おめでとうございます!
2ヶ月くらい前のニコ生で発売発表があって以来ずっと待ち続けていたので当日は本当に感無量でした……まずはJupiterとDRAMATIC STARSですが、今後も順調にS.E.Mとか彩とかHigh×Jokerとか、諸々のユニットもデビューしてくれるといいなあと切に思います。イチオシキャラは何人かいますが基本315プロ箱推しなのでどのユニットが出てもぎゃーぎゃー騒いでいそうだ。
予約特典、アイドルだしということでブロマイドにしました。今後もブロマイドで統一していこうと思います。
あとシリアルコードでもらえるSR+、ドラスタはゲームを始めるきっかけにもなった桜庭薫、ジュピターはクリスマスイベントあたりから好感度高めの御手洗翔太にしました!2人ともキラキラしていてアイドルって感じでたいへん尊いです。素敵だ〜〜


というわけで各CDの感想を簡単に残しておこうと思います。まず木星から。

01. BRAND NEW FIELD

961プロ辞めて315プロから再出発!という感じが曲名や歌詞からバリバリ出ていて本当によかった。
試聴で1番だけ何度も聞いてたんですけど、聞き違いがそこそこあったことが判明してちょっと笑いました。in mind部分は多分わざとだと思うんですけど、翔太のサビ前「一緒なら頑張れるよ♪」のところ、みーちとーなっるーって聞こえてたのに実際はReach for the dreamだったみたいな。
それと、サビ前三人の一言ボイスが入るとこですけど、言葉のチョイスがすごくグッと来ました!!翔太や北斗は語尾に♪や☆がついてるんですね、それもお茶目でかわいかっこいい。北斗の声の響きがド級のタラシって感じでずるい。なにより冬馬の楽勝!だぜ!がきちんと入ってるところは流石押さえてるな〜と思いました。ライブとかでもすごく盛り上がりそうな要素だ。
曲自体も個人的に好きで、1番までのメロディをアレンジしつつずっと最後まで行く曲調はなかなか無い感じで良かったです。完全に別メロが出てこないというか。

02. Jupiterドラマパート

若干説明ぽさというか、脚本ぽさが見えてしまう部分があって(特に冬馬の長いセリフ)、何度か現実にかえりました。まあAlice〜のCDのドラマもそんな感じだったんでボイスドラマだと仕方ないのかもしれませんが。翔太が前よりイタズラ控えめになったのがなんだか成長を感じられてかわいいですね。
というかこいつら路上ライブとかやってたんだなあ…SideMの通常営業は本当に誰かしらがやっているということなんだろうか…  元有名アイドルの路上ライブが現実であったら相当ヤバそう。

03. Planet scape

ぶっちゃけ試聴時点であまりにしっとり系でどうなるんだろうと思っていました。入野自由が歌ってるしっとり系に始まり方そっくりだなあとかいらないことも考えていましたが。個人的にバラードではそこまで好きになる曲ってなくて、これもそうならないか不安で。いざ聞いてみたら杞憂だったし、むしろかなり好きな曲でした。BRAND NEW FIELDといい木星はすごくアイドルっぽくいい曲与えられてて嬉しくなります。キャラソンとアイドルソング自体その性質上似るんですけど、キャラソンではなくアイドルとしての歌を与えられてるな、と個人的には思いました。嬉しい。
バラードだと北斗の伸びのいい声が気持ちいいです。でも驚いたのは翔太の歌い方で、BRAND NEW FIELDではあんなに元気に歌い上げたのにこっちではここまでしっとり歌えるのかと、幅広くて感動しました。怖くなって〜、の部分が悶えるほど良かったです。Aliceの頃より中の人の歌上手くなってる気がします。まあこれは北斗もそうだと思いますが。それにしても翔太はキャラ感をしっかり残しつつ歌ってるので入り込めていい感じでした。ドラマパートでも思ったんですけど、翔太って時々声が掠れるときがあって、それがチャームポイントになってますよね。あざといなあ(わざとではなさそうですが
あと、サビというかサビ前というかのThere is my hope…が本当にいいメロディで個人的にとてもツボでした。気分が最高潮になります。サイリウム振っていたい。

04. Jupiter×ドラスタドラマパート

自己紹介とかベタベタだな〜wとは思いましたが、キャラの色が濃く出ていて聞いてて楽しかったです。特に北斗のキャラがすごくリアルに溶け込んでいていいですね。年上の桜庭にも余裕を漂わせつつうまく声をかけられるのは北斗すごいなーインテリなだけはあるなーと感嘆しました。
しかし桜庭はなかなかむかつくキャラだなwまだデビュー当初なのもあるんでしょうけど、今の寸劇とかでは見られるデレ部分がほとんどないのでなかなかキツいキャラでした。これはてんてるもキレるよなという感じ。でも、姉の話に触れられたときの声のトーンの変わり方、すごくそれっぽいというかリアルでした。あそこの演技は本当に良かったです。
料理の話になってから冬馬がすごくイキイキしていてなんだか笑えました。一応ドラスタは全員年上なので敬語を使うところも根が真面目な冬馬らしくていいですね。
どうでもいいけど山村の話題が出るところでなんか変な笑いが出ました。CDの315プロでは賢ちゃんであってほしいな……

05. DRIVE A LIVE(Jupiter ver.)

いよいよ315プロ共通テーマ曲!試聴部分以降がなんだか不思議な展開を始めているという印象でした。2番とか時々間が入るんですね。個人的に2番のSideM部分でMの発音をえーむと伸ばされるのはなんか合いませんでした。いい曲なんですけどね。
315と叫ばせるところがあるのがなかなかニヤニヤできて良かったです。ライブでみんなで315って叫びたい〜〜!2番では掛け声がsayになってるのも燃えますね!広いところで大音量で聞きたいなあ。それにしてもJupiterが歌ってる方はこなれた感じがありますね!wキャリアの差かな。


全体的に木星は流石元々大手アイドルなだけあるなと感じました。なんというか全体的に余裕が感じられますね。かっこよかったです〜再出発おめでとう。。
では続いてドラスタのほうの感想も。

01. STARLIGHT CELEBRATE!

スタセレ!どうでもいいけどセレブレイトと聞くとcan youほにゃららのほうがイメージされてしまいますね。
試聴の頃から思ってたんですけど、みんなすごく楽しそうにのびのび歌ってますね!!純度100%って感じで、自分を良く見せようみたいなところはいい意味でなくて、素で楽しく歌ってます!って雰囲気がすごく好きです。
それにしても桜庭は歌がうまい。うまいというか、うまく聞こえる歌い方だし声質なんでしょうね。スーパーノヴァとか言われるだけはあるんですね……。
あとは、歌詞の割り当てが絶妙でした。異議とか証明という言葉はてんてる、飛び立つ、take offを言わせるのは翼、桜庭は言葉自体はそこまで特別ではないけど、与えられる歌詞はちゃんと背景を踏まえられているし、すごく愛を感じました。そして聞いていて本当に、3人が現実に存在していそうな感じがしてくる。もう全力で応援したくなってしまう〜

02. ドラスタドラマパート

インタビュー形式なのはアイドルっぽくて良かったと思います。それにしてもインタビューでここまで喧嘩するてんてると桜庭は年の割に大人気ないのではないか……。とにかく声がつくと喧嘩がガチっぽく聞こえて、翼の気苦労が現実味を帯びてくるんですよね。すごく同情しました。おっとり声がまた仲裁にぴったりなのがなんだかせつない。
しかし桜庭がちょくちょく言葉につまるところがあって、ギャグも担当させられるキャラだったんだなあと目から鱗でした。こんな面白い声も出せるんですね!なんだか意外でした。中の人頑張ってるなあ。
あとは全体的にてんてるが演技っぽいというか、そこの人間の会話録音したって感じよりは、脚本を演技らしく喋っているように聞こえました。ちょっと残念といえば残念でしたが、キャラ的にも抑揚をつけないといけないので、そういうところが目立ちやすいところはありそうです。今後どうなっていくかに少し期待してます。ラジオとかで演じ慣れていくとすごくぴったりきそうなんですよね。

03. DRAMATIC NONFICTION

2番以降の歌詞がなんというか、上品な色気みたいなものがあって、ドギマギして聞いてました。デビューでこんな歌詞の曲あてがわれるとは流石大人ユニットなだけありますね。その辺はJupiterと区別化されてるんでしょうか。こういう感じすごく好きです。これをアイドルデビューオーディションの腹出し衣装で歌ってると考えるとなんだか笑えるような恥ずかしいような。鏡の前の慣れない格好〜部分はJupiterには歌えない、一度社会人として働いていた(桜庭は年的にまだ研修医なんですけど)ドラスタメンバーじゃないとピッタリ来ない。
曲調が若干エレクトロっぽいアイドルソングって感じで、ほんのりアメリカのヒットチャートに載るような曲臭がしました。驚きだったんですけど、この曲調で翼が歌うのすごく、ギャップじゃないですけどすごく良さがありますね……純粋すぎて目をそらしたくなる…… 2番のWay not to yet know部分を翼が歌ってるのには死ぬほどテンション上がりました。そこでパート分けるのずるすぎる。好きです。
あとはサビでよく出るnonfiction changes my stageってフレーズの加工バリバリ感がダンスチューンっぽくてテンション上がりますね。ライブで聴いたら死んでしまう。
個人的にとても好きな曲です。ジャニーズ歌ってそうですね。すごく好きです。既に何度もリピートしてます。

04. ドラスタ×Jupiterドラマパート

JupiterCDのドラマパートよりストーリー性があって個人的には好きでした。ここでもてんてる桜庭コンビががっつり喧嘩してて、お前らレッスン中にこんなにギャーギャー騒ぐんじゃねえとキレない翼に母性を感じました。これがバブみなんですかね。
Jupiterがしっかり先輩していて、話を聞き出すときも誘導尋問的、というと悪いイメージありますけど、うまく引き出していくなあと感心しました。翔太本当は一体何才なんだ……。相変わらず北斗は桜庭の扱いうまいし、冬馬はカッコ良くまとめるし、Jupiter先輩ほんとかっこいいですね。事務所でなんだかんだ一目置かれてそうです。
桜庭が自分の厳しさを思い直すシーン、翼が自信をなくしている状態から回復したシーンがどちらもいい変化の仕方で感動しました。特に桜庭がこんな風に素直に反省するとは思ってなくて(失礼)、なんだいいやつじゃないかと思ってしまいました。
それに翼は正直相当プレッシャーあったと思うんですよね。歌もうまくないし、2人を尊敬しているけどだからこそ(年下なのもあって)足手まとい感はどんどんつきまとってきてたんじゃないかなと。桜庭は金目当てというところがあるので、ガツガツしてるぶん余計に翼のプレッシャーを上乗せしていたところはあったと思います。そういうあたりの翼の演技が個人的に好きでした。CD聞いてて翼を応援したい気持ちがどんどん伸びていく……。

05. DRIVE A LIVE(DRAMATIC STARS ver.)

ドラスタ歌唱になるとなんだか透き通った歌に聞こえます。やっぱりJupiterは自己プロデュースしてるというか、その曲で一番適した自分を全力で見せている感じがして、良くも悪くもプロっぽい。
だから逆に新米アイドルのドラスタ(中の人も新米)は、今自分の精一杯の気持ち込めてがんばって歌いました!って雰囲気に満ち満ちていて、ああ、ピュアだなあ……と感じます。
曲自体は前と同じなので、特に書くことはないかな。

 
二枚とも違う良さがあって、本当のアイドルのCDを聞いているような気分になって、8月から始めた身ではありますが、本当に感無量でした。
ぜひ全ユニットCDだして、全員で歌うDRIVE A LIVEをライブで聞かせてほしいです。そのためにも出資頑張らないとなあ。どうでもいいけどイチゴ狩りイベ報酬が次郎だったせいもあって気づいたらモバコインカードを買っていました。CDおそるべし(?)。
全体的にすごくいい作品だったので、少しでも興味ある人はぜひ聞いてみてほしいです。

作曲して歌えて踊れる芸人:Ylvis

ここ一年以上、一番好きな洋楽アーティストといえばYlvis。本当に面白いし曲も良い。是非知ってほしいということで、オススメの曲を貼りつつ簡単に紹介していく。

 
Ylvisとは何かというと、ノルウェーのコンビ芸人である。芸人としても向こうではかなり有名らしい。ちなみに2人は実の兄弟である。
私がこのコンビを知るきっかけになったのはBillboardという音楽チャート番組だ。これは簡単に言うと海外版CDTVやMステみたいなもので、その週人気だった曲をランキングで紹介しつつ、そのうちいくつかのPVをフルで流してくれる。私がYlvisを知ったのは正直BillboardのPV紹介のおかげだった。その曲がこれ。
 
 
 
再生回数からもわかるようにこの(ひどい)曲&PVは世界中にバズった。Billboardでも長い間かなり上の順位をキープしていた。うちでも主に私と父にバカウケした(母にはウケなかった)。
このPVには割と中毒性があった。ふとまた見たいなあとyoutubeで検索すると、今までの作品がたくさんある。そしてどれも(けっこう)ひどい。やはり芸人、どの曲もかなりくだらないコンセプトで作られている。しかも無駄にPVにお金がかかっていそうだし、何気に歌が上手いし、作曲も基本的に兄弟でやっているらしいし、意外に多才。
 
 
以上の曲はわかりやすくておすすめ。
Ylvisが全国的に発信している曲はきちんと英語だし、割と聞き取りやすい平易な語を使っていて発音も聞き取りやすいので、英語ができない私も結構楽しめるのが良い。
 
このようにYlvis兄弟は爆発的ヒットを果たしたが、数か月後になるとこんな曲まで公式チャンネルに上がっていた。
 
 
Ylvis兄弟にはもう一人弟(?)がいるらしく、2人にハブられてやけくそしてる曲。弟も無駄に歌がうまい。
 
その後もわりとハイペースで新曲がyoutubeに上げられているので、暇なら興味がなくても見てほしい。曲のジャンルも意外と手広いし、どれもキャッチーでアーティストとしても出来はいいと思う。日本にこういうタイプの芸人はあんまりいないけど案外流行ったりしないかなあ。
こんなのも作れるのか!と驚いた曲。
 
 
二番途中のメロディの移り方が最高だと思う。
 
最近出してる曲は割とアメリカ的というか、ヒットチューンらしい曲調が多い。
 
 
 
 
 
ちなみにYlvisは曲以外にも、芸人としていろいろと動画を上げている(公式)ので、ノルウェーの言葉がわかれば見てみると面白いかもしれない。英語版で好きな動画はこれ。
 
 
そんなわけで、ちょっと暇なときにでも思い出したら見てほしいというアーティストの紹介でした。

輪るピングドラムを見て(雑感)

3/21(意図してないけど20周年!)、友人宅で「輪るピングドラム」を一気に観る会を行ったので、忘れないうちに思ったことを書いておく。(結構まとまってない。)ネタバレあるとおもうのでまだ見ていない人はあんまり読まない方が良さそう。



・音楽が最高に良い
特に良かったのが最初のED「DEAR FUTURE」。すごくシューゲイザーよりの残響ギターだなと思ったら、作曲者のバンド(coaltar of the deepers)がそもそもそっち寄りの曲を作っていて、なるほどと。シューゲイザーとかポストロックみたいな曲は個人的に好きなので大変ツボで、CD買おうか本気で検討している。ほんと、これを知ることができただけで収穫だった。
ちなみに作曲者のNARASAKIさん、楽園追放のBGMとか絶望先生の主題歌とかも手がけてて結構やり手だった。


・メンヘラ(しか)出てこないアニメ
出る人ほぼ全てがメンヘラ、大半は家族に欠陥を抱えているというなかなか激しいアニメだった。
特にきつかったのは前半の苹果ちゃん。多蕗先生大好きストーカーちゃんと、かなりギャグらしく描かれていたのに、その根底にあるのは自分を殺して姉に生まれ変わることというのはぞっとした。前半で一番メンヘラだったのも彼女で、見たこともない姉の亡霊に苦しめられて16年も生きていく、その辛さに耐えかねた一種の自殺準備をしているように見える。
最後に多蕗先生と関係を持つ寸前までいったところで思い直すシーン…遺書を書いて自分が死ぬ支度を終えてからいざ、というときに足元の台を蹴られないとか、屋上からあと一歩が踏み出せないとか、そういう類の迷いと本質的には同じなのではないか。自分を殺すことが怖い、生きることに未練ができてしまったという迷い。その原因が晶馬のセリフ「君は君だ」という彼女そのものの存在肯定だったあたりも極めてメンヘラ的。
しかもこの存在肯定に、晶馬側としては特に理由があるわけでは無く、だからこそ無償の肯定≒アガペー的な愛情として彼女に届いたのかなと考えた。苹果ちゃんには、「姉を知らない人」からの「理由のない存在肯定」が必要で、晶馬はしっかりそれを満たしている。苹果ちゃんが好きになるのも無理ないかもしれない。

もうひとつ身に沁みたメンヘラが多蕗&ゆり。この二人はとてもよく似ていて、どちらも異性の親しかいない(片親)+親は完璧主義であり、それを満たさない人を必要としない。2人の「美しくなければ/ピアノがうまくなければ、愛されない」「なんとしても、何をしてでも愛されたい」という気持ちの吐露がぐさぐさと刺さる…。大概のメンヘラは自分に原因があるから愛されないと思っていて、なんとかして愛されたい/こっちを見てほしい/心配してほしい/認めてほしい、という欲求を持ってリスカしたりオーバードーズしたりSNSでかまってちゃんしたりするわけで、この2人と本質的になんら変わらない。私も同じような発想をしたことがあるので余計刺さった。でも、この2人は間違っているということが作中で明らかに描写されているあたり、こういった発想が誤りだと言いたいんだろうな。自虐・過剰に愛されたいループからなんとかして抜け出さないと本当には幸せになれないというメッセージ性を感じる。というより、本当に幸せかどうかを判断するためには、どの時の幸せ度をチェックするかから定めないといけないと思う。だから、どちらかというと長期的に幸せになるためには病的な承認欲求を治すことが必要になるというメッセージなのかなあ。
ただ、頭では理屈ではわかっていても、それを納得して信じ込むことができるかというとそれは相当難しいことだし、メンヘラがぶり返しやすいのもそれが原因だと思う。大人になってしまった以上、正常な理屈とそれに納得できないという感情の間で苦しむことは避けられなくて、多蕗とゆりにとってはそれが罰になるのかもしれない。メリーさんの羊のエピソードは、羊をこの2人+桃果にしてもなんとなく通じそうでもある。

眞悧は承認されないことを世界(環境)のせいにしてこじらせてしまった大人だし、桃果すら正しかったとは言えない。桃果はあんなに神様のように描かれているにもかかわらず、愛を与える相手をしっかり選別しているのがある意味人間なんだなあと。それに気づけない多蕗とゆりだったから、2人は桃果のためという大義名分の下でなんでもしてしまうともいえる。眞悧が言う「人間は理由があれば簡単に人を殺せる」セリフは重みがあった。いずれにせよ私はあまり桃果を良いキャラとしては見られなかった。


・物理法則などなどを無視したストーリー
イクニ作品は初めて見たけど、確かにある意味不親切な作品だった。見ていて「なんで突然電車が異空間になるの?」とか「なんでペンギンが段ボールにはいったらベルトコンベアが逆向きに回るの?」とか「こどもブロイラーにはどうやっていくの?」とか、とにかく疑問になることは多いのに、それに対する答えがほとんど出ない。だからよくわからないアニメになってしまう。変身バンクもそうで、とにかく答えが与えられないまま不思議な表現を見続けることになって、見終わった感想が「よくわからないけど面白かった、感動した、つまらなかった」などになる。
個人的な考えとしては、演出の全ては舞台装置であって、見た人になにかぼんやりとでも印象を残すためにあるというそれだけのものだと思う。一つ一つのことに対する裏付けもないし、ご都合主義で進んでいくけれど、そこが問題なのでは無くて、もっと観念、比喩的な部分が問題である。
答えがきちんと出ないと嫌な人にとっては相当ストレスが溜まるだろうけれど、個人的にはこういった、伝えたい物のために手段を選ばない(というより最適なものであれば道理が通らなくても選ぶ)作品は好きなので楽しく見ることができた。目的重視という点では、高校のときに読んだ安部公房の「棒」という小説に近い物を感じる。あの小説も理由無くお父さんが棒になったところから話が始まる。
ピンドラには結局はっきりとしたオチがつかず、乗り換え先と前でどちらが幸せだったのかはわからないようにされていた。私はこれについてはむしろはっきりとした答えを与えるべきではないし、そんなものは存在しないと考える。幸せになるための最適解なんてこの世にはなくて、それでも最適解があるはずだと思い込んでしまった人たちの結果がKIGAだったのではないか。運命の乗り換えで幸せの総量は変わらないだろうし、陽毬の命と引き換えに三人の幸せな生活の喪失と爆破テロの失敗と苹果ちゃんが好きな相手の喪失があって、結局全体としてみればプラマイゼロになっている気がする。

もうひとつ演劇的だと思ったのはカメラワーク(舞台上へのキャラの配置)だった。カメラワークについてはガンダムで有名な富野さんが本を出しているらしいが、それによれば、上手側にキャラを置くか、顔の向きはカメラ向きか反対か、など様々な要素に気を遣ってコンテを書くという。与える印象が変わってくるということだった。それについての考察記事を読んで、こんなに相手に与える印象を考えてコンテを書くんだなあと感動した。


・病院あたりからよく出てくる下りのシーン
一つは陽毬がサンシャインシティのさらに地下までペンギンに誘導されるシーン、もう一つは真砂子に誘導されて冠葉が階段を降りていくシーン。どちらも行動主体の深層心理へ辿り着くという結果になるので、意図的に下りにしたのかなあと。ユング心理学だったか忘れたが、人の意識の奥底は繋がっている=集合的無意識であるという考え方があるけれど、冠葉に比べ相当深く潜って行った陽毬が初めて眞悧に会うところを見ると、呪いとなった眞悧は集合的無意識にいて、誰にでも声をかけることができるのかもしれない。というより普段意識しても気づけないようなところまでしか出て来られないように桃果に封印されてしまっているのかもしれない。
集合的無意識といえば、電撃文庫で「断章のグリム」という作品があるが、(途中までしか読んでないけど)ああいう発想は結構好き。これらの作品全て、実際に正しいかどうかを問うのはナンセンスだし、答えなんて作者にしかわからないよなあと。


・声優の演技
一番感動させられたのはやはり多蕗(石田彰)の演技。あまりにもうますぎる。特に惚れ薬が効いているベッドシーン、実に色っぽい声で、本当に好きな人を誘ってるみたいな響きが最高だった… とても良かった。そのあときちんと違和感無くギャグにつないでいくのもうまい。流石あらゆる役をこなしてきただけあるんだなあと。どうでもいいけど、石田の誘うシーンの声色、乙女向けCDで優しく励ますときに出すそれとかなり同じだった。それを思い出すとこそばゆかった…。

もう一人よかったのは眞悧。明らかな悪役としての声じゃなくて、ずっと人を翻弄し続ける感じはとてもよかった。最後、乗り換え直前に呪う言葉を発したとき、初めて彼の本来の感情の発露を感じて本当に良さだった。眞悧はどちらかというと麻縄というより真綿というイメージだし、自分の意思をできる限り表に出さずに飄々と相手を翻弄する人だと思う。だからこそ本音が隠しきれなくなったところで人間らしさを感じてホッとしたというか、より好きになったかもしれない。


・林檎のシェア
幼少時の箱の中のエピソード、林檎を見つけるのも分けるのもきっと冠葉じゃないといけなかったんじゃないかということ。冠葉と晶馬の違いとして一番大きいのは、取捨選択ができるかどうかだと思う。冠葉は(それが正しいかはさておき)大切なことのために他のことを切り捨てることができていて、ある意味とても大人である。全てがうまくいくことが無理だとわかっていて、だからこそ汚れ役を買ってでも一番大事なものを守ろうとする。冠葉は誰より始めに一歩踏み出す・決断することができる人間で、晶馬は冠葉や苹果の、つまり他人の行動に影響されてから初めて自主的に動き出す人間だったと思う。だからこそ、あのときに林檎を手に入れるのは冠葉でないといけなかったし、始めに陽毬に命を分けるのも冠葉でないといけなかったのではないか。
後半の冠葉はまるで悪役のように描かれているが、冠葉がいなければ三人の生活が本当の家族として回らなかったと思うので、冠葉に対しては割と肯定的に評価している。きっと父親の(病院エピソード)影響だと思うけど、彼は良くも悪くも大人だったんだなあと。そういう意味で言葉通り何者にもなれないのは晶馬の方だったと思う。だから、逆に冠葉はこどもブロイラーに辿り着くことはできなかったはずだ。陽毬を救えるのは何にもなれない側の晶馬だったし、(親を親とみなしていない)晶馬を救えるのはより大人で保護者的な冠葉だったし、冠葉を救えるのは目先の欲無しの、純粋な愛を示してくれる陽毬だったのを見ると、林檎を渡す順番はこうでなければいけなかったのかもしれない。
この林檎=命=愛の巡りがピングドラムだ、という考察記事をよく見たが、私もそうだと思った。  とはいってもこの項についてはあまりに話が穴だらけで自分でもあんまりよくわかってないかも。


・その他
最後の生存戦略では、陽毬がプリクリ様ではなく陽毬自身だったというのに結構感動した(目の色が変わっていない)。
あとはあちこちにでてくる熊モチーフにユリ熊を感じずにはいられなかった。もともとピンクベアプロジェクトって続編的位置づけだった気がするし、熊モチーフ自体に共通の意味があるのかなあ。
見終わって感動してしまって、ちょっと泣いてしまった。改めてもう一回見たらもっと面白いだろうな。