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P3Movie(Falling down)見てきた感想

タイトルの通りです。見たこと前提の感想なので多分ネタバレを含みます。
見てから数週間も経ってしまったし文章がダラ下手長くなった。



・はじめの広告
アニメ映画だとアニメ系の映画広告にしてくれるの優しいな……っていつも見てます。
コードギアスの映画、そういえば主人公が入野自由だったことを思い出して予告見てたんですけど、最後に悪い人の声出してるの聞いたらすごく満足しました。遊戯王ZEXALのブラックミストみたいな役をノリノリで演じる入野が好き。
あと何かの実写映画の主題歌がゲスの極み乙女。だったんですけど、名前見るまでセカオワだと思ってました。初めてゲスの〜を聞いたときも声質似すぎかよと感じたんですけどそれにしたって似すぎだよ。


・初っ端から視聴者を置いていく件
いきなり主人公群vsストレガでどんぱちやっててなんなんだこれは……
前回記憶違いでなければ、噴水のところで順平とチドリが会うところで終わってたと思うんですが、もう順平利用されてるし、信頼度上げる描写ないままにここまですっ飛ばされるとは考えてなくて頭が追いつくのに時間がかかりました。そこちゃんとやらないでどうするんだ。
順平がチドリに惚れるシーン自体は後半で回想という形で出てきたとはいえ、置いてきぼりしすぎてて苦笑。本当に既プレイ者以外お断りの雰囲気ですね。それならOVAでいいし、見てても映画じゃないと!という熱い映像は少ないというか、お金あんまりかけられなさそうな映像見てると少し寂しい。静止画+BGMでカメラ動かすシーン見るたびエロゲとかギャルゲーとか乙女ゲーとかそういうOPかよと言いたくなる。
この時点でファルロス+結城掛け合いもといスーパー石田タイムが始まってて面白かったです(こなみ)。


・幾月の突然の死(例のトゲトゲ)
シリアスなシーンだとはわかっていても今まで対して目立ちもしていなかった幾月が顔芸始めるとすごく面白い。展開も知っていたしギャグシーンとして見ていました。展開知ってなくてもあんまり重大な感じがない(明らかに何かまだ控えてるとわかる雰囲気)シーンだと思います。
唯一怖さがあったのはアイギスの自律性が失われたところ。結城に絶対的信頼を寄せるアイギスでもこうなる可能性があるというのが怖い。おそらく結城にとって頭で理解できてもショッキングだったんじゃないかと思いました。


・ハイパー石田タイム
綾時&結城ってこんなに絡むんですね。高いハイ石田と低いロー石田(ここにファルロスが入ると生き生きショタ石田)と石田一人三役を堪能させていただきました。
ゲームはちょうどこのあたりで友人に返してしまったので細かい流れがわからないんですが、映画、無理やりコミュの対象を出しまくり→負債を作らせ→綾時とくっつける、流れが力技すぎる。本編ストーリーに田中社長が出てくるイメージがないので映画オリジナルストーリーだったんですかね。力技だとは思うけれど綾時に結城が徐々に徐々に心を開くのは流れも丁寧で良かったんじゃないかな。
あと修学旅行の温泉のシーンが笑いをこらえられなくて本当に辛かったです。映画館静まり返ってたから声出せないのが余計「笑ってはいけない」を思い出させて辛かった。緑川&石田&鳥海だと思うとみんな名キャストだし、そりゃ臨場感のある演技がうまいわけなんですけど、真に迫っていて(特に緑川氏)お腹にダイレクトに来ました。あそこだけもう一度見たいなあ。


・チドリと順平のメンヘラブストーリー
改めて見て思ったんですけど、チドリめっちゃメンヘラ女子っぽいですね!!リスカしてるから今更だけど!!
悩みは他メンヘラ女子より多少高尚かもしれませんが、行動や精神のぶれ方がメンヘラ女子すぎて(特に寝返ったあたり)いたたまれない気持ち(?)になりました。2人がそれはもう熱く気持ちを伝えながら攻撃しあうシーンありましたけど、自分が制御できない位感情が爆発して暴れる彼女を宥めすかし押さえ込む彼氏にしか見えませんでした。だいたい強い言葉を与えてギュってしとけばなんとかなるよね。半分冗談とはいえ、正直なんでもメンヘラ的だなあという気持ちで作品見ちゃうのは良くないという自戒もあります。
順平の代わりに自分が死ぬシーンのチドリ、最期の言葉がじーんときて少し泣きました。冷静になってみると、お互い好きあってたことに今更気づいて、でももう間に合わなくて、相手だけには生きていてほしくて(でも順平にはなにもできない)、通じたと思ったら終わらせられる順平の気持ちを考えると切ない。
チドリと違って順平の方が精神は普通に出来てるから、だからこそ相当引きずっても仕方なかったと思います。その場でとっさに怒りに方向転換して戦った順平、たぶんそれしかできなかったんですよ。もしここでストレガが何もせずいなくなっていたら、逆に順平ほんとに苦しくて辛くてたまらなくて気持ちの行き場がなくなっていたんじゃないかな。
正直恋愛ストーリーとしては要約文を見せられたばりに細部を描かず雑ではあったんですが(映画の見せ方の影響で)、声優の演技の良さにカバーされてことなきをえたかなと思います。




ここから割と内容全体のまとめた感想です。「ジュブナイル作品は本題に精神的問題ばかり使う」よねって話
この前見たピンドラもペルソナ4もそうなんですが、ジュブナイル作品だと、当事者達(十代達)にとっての重要な問題はほぼ精神的なものに終始しますね。それは例えば複雑な恋愛関係でもあるし、愛情の与え方でもあるし、自己理念の確立でもあるし、承認欲求の解消法でもあるし、自分は周りの世界をどう受け取るか、という問題でもあります。
言い方を変えれば、当事者にとって問題はどこまでも内面的なもので、例えば社会制度などのルールに刃向かうとか、正義の味方になって悪役をただやっつけるとか、そういったところがあまり重要になりません。むしろ、悪役とは誰か?わたしの正義は何か?ということを悩ませるようなものが多いです。そういう意味ではダンガンロンパって作品は比較的当事者の問題意識は社会的なところにあるのかな、とも思えます。(とはいっても希望を信じて賭けに出るか諦めるか、と言うところはメンタル的だ。)
対極にあるのは例えばサイコパス。あれは社会構造や規範に疑問を投げかけていく作品で、もちろん自分のルールとはなにか、シビュラシステムは善なのかを考えることにはなるんですが、やはり大きな主題は社会にあって、そこにはこうなるまでに至った社会の状態≒構成員の状態の問題も付随してくる、という形になると思います。
言ってみればこれは当たり前のことで、基本的に十代の子供は大人のような社会性を必要としない(義務に縛られない)し、思春期から大人になる最中だから内面こそが大きな悩みとなる。

P3Mにおいて、結城の精神も起承転と変化しているところがあります。
#1は結城の精神が実質視聴側から見れば生まれる瞬間というわけで、生まれたばかりだから、他者との関わり方がよくわからない。それでも好奇心や相手からの好意、あるいは成功体験をきっかけに人に近づこうとするようになる。
#2でそれがピークに達します。自分に心から信頼・愛を与えてくれるアイギスと出会い、寮のメンバーも最多となって、目的も確実に消化出来ている状態が続く。よくわからないけど今は充実しているし、自分は世界(≒他者)のためになっている自信がどんどん増してくる。ここまでが承とすると、ストレガの存在と荒垣の死がそれをひっくり返す転になり、ラストシーンで楽しく明るい強いところから引きずり落とされて、関わっていたモブでは無い人の喪失で怖くなる。
#3では綾時が現れるまで下り坂が続き、今まで拠り所になっていた他人と関わることによる安心感、正しいことをしているという自己肯定感がほぼ崩される。結城はここで、「プラスに精神が傾くと、失ったときの辛さはゼロどころでなくマイナスになる」から「ゼロを続ける方が辛くない」という結論に至るわけですが、こういうことって人間関係で一度は誰もが考えることだと思います。親友を失うとか好きな人に別れを告げられるとか。
数年前に日記にわたしも似たようなことを書いていたので、見ている間うーんなるほどという気持ちでいっぱいでした。人生+-で表せるとしたら、+20を経験したら-20を経験することを覚悟しなきゃいけないとわたしは思います。逆も言えるけど。より楽しいことを経験したらそれを失ったときより辛いのは当たり前ですかね。
結局、結城は綾時と過ごした結果、そういうメンヘラい考え方をやめ始めて、順平とチドリのやりとりを見てから完全にそこから脱します。あとタルンダ先輩との卓球も関与はしているかも。今回の映画でかなり好きなシーンが、チドリに少し打ち解けてもらえて浮かれる順平と結城が会話するシーンでした(伝わるだろうか)。談話室で順平が「お前そんな考え方でつまんなくねーの」って言うところ、順平たまには(?)いいこと言うなと。(ゲームでの順平は文句ばっかりの割りに免罪符無さすぎる感じがダメであんまり好きじゃなかった)
見ながら思ったことなんですけど、人生を積分値で見るのは安易な考えで、むしろ人生価値はそういう感情の絶対値の積分値で見る方が適しているんじゃないかと。RPGの経験値的な目線で見ていきたい。怖がってなにもしないなら死んでるのと同義です。そう考えると、デスである綾時が生に満ち満ちてるのは少し面白かった。

結論を言うと、一作品としてはぶっちゃけあんまりな映画だけど、P3のストーリーを受け取り直す手段としては正解な映画でした。やはり主人公が1キャラとして描かれるという点では映像や小説は強い。次作でラストなので、せっかくだし最後まで見に行こうと思います!まだ見てない人は先に何らかの形で原作を一周してから見ることをオススメします。